きこえの仕組み
きこえは3つの部分から成り立っています。
1 耳介で音を集めて鼓膜まで音を伝える外耳
2 伝わった音を増幅する中耳
3 音の振動を電気信号に変換して脳まで届ける内耳
難聴とは?
音や言葉が聞こえにくい状態を難聴と呼びます。
● 外耳、中耳に原因のある伝音(でんおん)難聴
● 内耳、蝸牛神経、脳に原因のある感音(かんおん)難聴
● 伝音難聴と感音難聴の2つが合併した混合(こんごう)性難聴
伝音難聴は手術で改善するケースもある
伝音難聴は、外耳や中耳になんらかの障害があることで起こります。外耳道炎、急性中耳炎などでは一時的な症状である場合も多く、薬物投与などで改善することが多いです。
一方、滲出性中耳炎、鼓膜穿孔(慢性中耳炎)や耳硬化症などでは手術で改善することもあります。治療が難しい場合でも補聴器を装用することで適切な音を内耳に届けられれば、問題なく聞こえることも多いです。耳鼻咽喉科を受診してください。
感音難聴は補聴器を装用することが大切である
感音難聴は、内耳、蝸牛神経、脳の障害によって起こります。急性に生じる突発性難聴などや慢性的に生じる騒音性難聴・加齢性難聴、生まれつきの先天性難聴などがあります。急性難聴は早期の薬物治療等で改善することもあります。また騒音性難聴は予防が重要になります。加齢性難聴などは現在は治療は困難ですが、補聴器で聞こえを補うことで、認知症予防、生活の質を改善させることができます。また、重度難聴の方には人工内耳手術を行うことで聞こえが戻る可能性があります。
混合性難聴は症状に応じた治療を選択する
混合性難聴は、伝音難聴と感音難聴の2つが合併した難聴です。伝音難聴と感音難聴のどちらの症状が強いかは個人差があるため、症状に応じて各種治療や補聴器などを使用します。
難聴の影響
難聴になるとさまざまな社会生活に支障をきたします。
そして認知症のリスクが大きくなります。
● 必要な音が聞こえず、社会生活に影響を及ぼす
● 危険を察知する能力が低下する
● 家族や友人とのコミュニケーションがうまくいかなくなる
● 自信がなくなる
● 認知症発症のリスクを大きくする
● 社会的に孤立し、うつ状態に陥ることもある
加齢と難聴
加齢による聴力の低下は一般的に高音域から始まります。40歳代のうちはあまり自覚することはないでしょう。しかし、確実に高音域の聴力レベルは下がってきます。早期に予防することが大切です。
60歳代になると、「軽度難聴」レベルまで聴力が低下する音域が増え、聞こえが悪くなったことを感じる人が急激に増えてきます。さらに70歳をこえるとほとんどの音域の聴力が「軽度難聴」〜「中等度難聴」レベルまで低下してしまいます。65-74歳では3人に1人、75歳以上では約半数が難聴に悩んでいるといわれています。
齢としのせいだと決めつけないで。加齢以外の原因もあります。
加齢性難聴はひと言でいえば、老化による聴覚機能の低下なので、残念ながら根本的な治療法はありません。大切なのは、できるだけ早期から補聴器などを使って、「聞こえ」を改善し、ことばを聞き分ける能力を最大限に発揮することなのです。また、単なる「加齢性難聴」ではなく、中耳炎などによる「伝音難聴」、騒音やウイルスなどによる「感音難聴」を発症していたり、難聴をさらに進行させていたりする事もあります。その場合は、投薬治療や手術などで治療できる可能性もありますので、「耳が聞こえづらいのは齢としのせいだ」と決めつけずに、必ず耳鼻咽喉科医に診てもらうようにしましょう。
以上、
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会HP Hear well, Enjoy life!より抜粋
難聴と補聴器のまとめ
- 聞こえにくいと感じたら、耳鼻咽喉科医による診断を受けましょう
- 補聴器の効果が感じられるまで時間が必要なことを理解しましょう
- 初期段階で諦めず、長期的に向い合いましょう
- 家族や友人の協力を得ましょう
- 耳以外からの情報も有効に活用しましょう
- 両耳の聞こえを活かしましょう